質問1:まず初めに作品の概要を

――まず、君たちの出演していた作品名とあらすじ、ジャンルとキーワードを教えてくれるかな?

「『異世界で無双できると思ったらチート無しだった件』。
 あらすじ、『屋上で昼寝をして、起きたらそこは異世界だった。これが異世界トリップか! 俺TUEEEEか! と喜ぶオレに降りかかる現実。チートは……なかった……。それでもどうにかこうにか生きていかなきゃいけない。現代の知識を活用しつつ賢く狡く日々を暮らしていると、王宮から使者がやってきて、国に仕えろと言ってきた。その居丈高な言いようにカチンと来たオレは、反射的に断った。でもよく考えてみたら、これって不敬罪じゃね? よし、逃げよう』。
 ジャンルはファンタジーで、キーワードは『R15 残酷な描写あり ファンタジー 異世界トリップ 剣と魔法 バトル チート無し 王子 コメディ ほのぼの 一応恋愛 旅 もふもふ 俺TUEEEEしたい主人公 これでも女主人公 ハッピーエンドの予定』」
「作品名は『暁の歌姫と地方領主』です。
 あらすじは、『希望の朝を呼ぶと言われるほどの歌声を持つアリーシャは、若き領主、リート・ダンテ・マイゼルド子爵に恋をしていた。かなわぬ恋と諦めていたけれど、ある年の収穫祭で披露した歌を聞いた子爵に、屋敷へと招かれて……』ですね。
 ジャンルは恋愛です。キーワードは『恋愛 異世界 歌姫 貴族 身分差 日常 ほのぼの あまあま』、あと完結後に『ハッピーエンド』を足しました」
「『エーデルファーレの魔女』だよ。
 『風邪が悪化してぽっくりと逝っちゃった私は、異世界に生まれ変わった。この世界では魔法が科学の代わりらしい。そして私は魔法の才能に長けているらしい。じゃあ、なってやりましょうか、大魔法使いとやらに』。
 ジャンルねぇ、最初はファンタジーだったんだけど、恋愛要素が増えたからって途中で恋愛になったよ。キーワードは『残酷な描写あり ファンタジー 異世界 転生 魔法 魔法使い/魔女 ほのぼの シリアス 恋愛 年の差 主人公最強 ハッピーエンド』だね」


――あらすじとキーワードでだいたいはわかるけど、簡単にどんな話かの説明をしてくれる?

「王子のよこす使者から逃げつつ、各地で騒動を起こしたり問題を解決したりしながら、いつのまにか国の中枢に関わってくってのが大筋だ。いわゆる王道の異世界トリップものだな。お約束としてはチートでハーレムだけど、どっちもない。つってもチートっぽい描写はたまにある。知識チートってやつか。恋愛要素は王子が出てきてから少しだけ入ってる。ま、王子が相手ってのも、お約束だよなぁ」
「国の中心とは離れた地方の領地での、山も谷もあまりない、始終ほのぼのとした恋愛もののお話です。すれ違い要素もあって、なかなか両思いにならない二人を描いていました」
「あらすじだけだと私の話はわかりにくいかな。まあ、そんなに中身があるわけでもないんだけど。転生前の記憶を使いつつ、魔法使いとして成功していくお話。相手役は、災悪の魔法使いとか言われてみんなに嫌われてた、かなり年上の魔法使い」


――作品の中での君たちの立ち位置、まあつまり、自己紹介をお願いするよ。

「高橋美幸、トリップ前は高校二年生だった。完結したときは二十一歳だったかな。いわゆるトリップ主人公ってやつだな。女性主人公。こんな口調だけど女なんだよ一応」
「あらすじで名前が出ていましたが、リート・ダンテ・マイゼルドです。十六のときに子爵を継いで、領主として地方の領地を治めていました。連載当初が二十二、完結時は二十三歳でした。主人公アリーシャの相手役でした」
「へぇ、相手役だったんだね。女の子みたいな見た目してるから、歌姫のほうかと思ってた」
「……女性に見えましたか?」
「んー、そっか、女性にしては身長高いね。服装も男性のものだし、声も低いし。きれいな顔をしてるものだから、つい」
「……そうですか……」
「なんだ、その、気を落とすなよ子爵」
「私はミーウェルミルシー・エーデルファーレ、最強主人公。大魔法使いになると国名を背負えるの。ちなみに名前は魔法使いになる前の名前で、今では略称だよ。魔法使いになると、元の名前を伸ばして真名を作る。誰にも知られちゃいけないから、もしも聞かれても一回じゃ覚えられないくらいに長いの。ついでに、前世の名前は千沙。名字は覚えてない。連載開始時は四歳で、完結したときは、何歳だったかなぁ。魔法使いはみんな長命なんだよ」


――作品の人気はどれくらいあった?

「ランキングによく載ってたぜ。ファンタジージャンルでトリップ主人公だったし、タイトルもキャッチーだしな。ああ、ピックアップにも載った覚えがある。完結時にお気に入りがもうちょっとで10000行きそう、ってとこだったな」
「すごいですね。僕のところはあまり……。連載開始時にはジャンル別ランキングに載りましたが、あとは全然。ああでも、完結時には評価してくださった方々のおかげで日間98位になりました。あのときはありがとうございました。お気に入り登録は完結したときに186件でした」
「じゃ、私はその真ん中らへんだね。更新するとジャンル別ランキングの下のほうにふよふよって浮上してくる感じ。ごくたまーに日間の下のほうにも載ってたよ。お気に入りは完結したとき3800くらいだったかなー」


――どんな感想が多かった?

「色々だなー。リアルでいいってのもあれば、所詮はご都合主義だなってのもあったし。ま、基本軽いノリだったから、草生やしながらツッコミ入れつつ楽しんでる奴らが多かったかな。たまに粘着質な奴もいたなぁ、今じゃいい思い出だけど。少しだけど恋愛要素が入ってからは、なぜか王子がよくボコボコにされてた。オレのファンみたいのができてたんだよな。男性読者もけっこういたみたいだ」
「あんまり感想はいただけなかったんですが、丁寧な感想をいくつか。二人の恋路を応援しているというものや、アリーシャがかわいいというもの。完結してから、二人がしあわせになってくれて自分もうれしい、という感想に僕もうれしくなりました。恋愛中心で、女性視点のお話でしたし、読者はほぼ女性の方でしたでしょうね」
「設定に穴があったからか、ツッコミは多かったかな。最終的には、異世界だから! 主人公最強だから! でごまかしてたけどね。私が最強だったから、スカッとしたって感想もけっこうあったよ。あと、相手役がヘタレだったからか、そんな男捨てちまえ、ってのもたまに。読者は女性のほうが多かっただろうね。男性の人のほとんどは、恋愛要素が入るようになったあたりで切ったんじゃないかな」


――キーワード、異世界と恋愛とほのぼのとハッピーエンドが共通しているけど、話を聞いていると全然違う話だよね?

「だな。オレの話はほのぼのよりコメディ寄りだったし。恋愛なんて飾りです、のノリだったし」
「僕の話は恋愛中心で、大きな事件もなく、ほのぼのとあまあまが混じったようなお話でしたから。お二人のお話とはまったく方向性が違いますね」
「恋愛要素、幸さんと同じで私のほうも最初のほうは全然なかったよ。スー、災悪の魔法使いは、名前は早い段階で出てたんだけど、キャラが出てきたときは偽名使ってたし。仲良くなってからも恋愛要素はしばらく薄かったし。後半はがっつり恋愛ものだったけどね」
「うらやましいな。オレなんて恋愛タグ詐欺とか言われたぞ」
「幸さん、がっつり恋愛したかったの?」
「……それは微妙だ」



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