世界観設定

用語説明


・魔界
 魔力と呼ばれる不思議な力を持つ者たち――魔族が住む。実はけっこう穏やかな世界。
 ほとんどの種族が人より寿命が長いために、のんびりしている。若いころは盛ったり争いを好んだりもするが、時が経てば落ち着かざるをえない。
 魔族全般が魂の色やら匂いやらを重視するため、恋愛において外見や年齢にこだわる者は少ない。
 魔族の頂点には魔王がいるが、魔王は魔界を支えてはいるだけで支配はしていない。ちゃんと法律もあり、魔王権限もあるものの制限つき。
 基本的には種族ごとや地域ごとなどのゆるい統治。有事の際は魔王城に権力などが集中するときもある。

・人界
 地球のこと。魔界ではこう呼ばれる。
 魔界と人界はところどころでつながっており、魔界の住人は手順を踏めば人界に行ける。力の強い者は自力で人界に行くことが可能だが、それでも許可は必要。
 人間の擬態をすることと、人界で騒ぎを起こさないことが条件。一度人界で問題を起こせば、二度と人界には行けなくなる。
 たまに人界から人間が落ちてくることがある。基本は拾った者に保護責任が生じるが、面倒を見れない場合は領主や魔王城などに届け出れば保護してもらえる。

・魔族
 魔力を持ち、人型(二足歩行型)を取ることのできる者の総称。人型を取ることのできない者は魔獣や魔物などと呼ばれる。
 種族がたくさんあり、外見や性質、習慣や寿命などは種族によって異なる。

・魔王
 魔界を支える魔力を持って生まれた者のこと。そのため魔王は生まれた瞬間から魔王。
 魔王が魔界を統治する必要はないが、土台であり支柱である以上、ある程度の威厳と教養は必要不可欠。
 魔王は魔王という種族のようなものなので、唯一の特別というか別格の存在。
 頭部に美しい角があるが、角が魔力の核である鬼族とは違い、飾りのようなもの。魔王の魔力は全身に宿っている。
 寿命は千年程度。通常、魔王が没したその瞬間に次の魔王が生まれる。



種族


・吸血鬼
 他者の血から生命力を得ることで莫大な魔力を要することができる種族。種族的には上級の中程。
 闇夜のような黒髪が多く、金髪や銀髪も少なくない。瞳の色は赤や青や緑など、はっきりとした色が多い。力を使うときや本能が表面化するときは瞳が輝く。
 基本的に親類や友人から、恋人のいる者はその人から血をもらう。最低限生きるのに必要な血の量は意外と少なく、年に一度程度の摂取でも事足りる。
 今は血の代わりになる薬剤もあり、それほど高価なものではないらしい。
 寿命は魔力によって大きく差があり、二百年から四百年程度。竜族の次に長寿。

・淫魔
 淫魔とは、異性の情欲をあおり、快楽に酔わせて精気を吸う種族。種族的には中級。
 外見的な特徴は特にないが、みな異性を惹きつけるような外見をしている。
 初めて性的欲求を覚えた相手と逆の性別になる。だいたい生まれてから十年程度の間に性別が決まる。性決定のきっかけになった相手を“運命”と呼ぶが、様々な要因から、ほぼ初恋は実らない。
 魅了は本能や欲求に素直にさせるだけのもので、本心から嫌がっている場合は効果がない。
 寿命は魔力によって差があり、八十年から百五十年程度。

・天の民
 地の民の対とされる一族で、光と闇、大気、天候を操ることに長けている。
 鳥のような大きな一対の翼を持つ。種族は翼の色によって細分化される(黒翼・白翼・赤翼など)が、色は必ずしも遺伝するわけではないので、親子で種族が違うなんてことが起こりうる。
 天の民と地の民だけで、魔界の人口の半分を占める。寿命は平均で百二十年程度。

・地の民
 天の民の対とされる一族で、土や石、地質や土壌、植物などを操ることに長けている。
 額に大きな玉がはまっている。種族は玉の色によって細分化される(紅玉・蒼玉・碧玉など)が、色は必ずしも遺伝するわけではないので、親子で種族が違うなんてことが起こりうる。
 天の民と地の民だけで、魔界の人口の半分を占める。寿命は平均で百二十年程度。

・鬼族
 角と大きな体格を持つ種族。種族的には中の上程度。
 角は魔力の源で、心臓と同じくらい大切。角の形状は人によるが、たいていは二本ある。
 寿命は平均で120年程度。

・獣人
 獣の姿を持つ種族。種族的には中の下から下の中程度(なんの獣人かによる)。
 人型(完全な人型と耳としっぽが生えている人型とある)・獣型(完全な獣)・獣人型(身体の作りは人間だが毛で覆われていて頭が獣)などがある。基本は耳と尻尾の生えた人型か獣人型で、魔力や適性によって、完全な人型を取れるか、完全な獣型となれるかが決まる。
 元となる動物と血のつながりがあるわけではない。寿命は80年から100年ほど。

・人間
 地球の人間。なんの力も持たない存在。
 偶然落ちてきた者、魔族に連れてこられた者、魔族に誘われ移住を決めた者などが、少数だが魔界に暮らしている。
 魔界では通常、魔力を持たない者は生まれないが、人間の血を引く者の中には、ごくたまに魔力のない者も生まれてくるらしい。





登場人物


ミンメイ《明芽》
 身長154cm。春生まれの十八歳。栗色ショートボブに深緑の瞳。小柄でほっそりとしていて、美少女ではないが愛嬌のある顔立ち。
 天涯孤独の身となり、成金親父の妾にされそうな頃、魔界に落ち、ハルウに拾われた。
 基本的におっとりしているけれど、芯が強く頑固。感情的になると子どもっぽくなる。

ハルウ《玄烏》
 身長166cm。冬生まれで外見年齢十七歳程度。実年齢は四十近い。さらさらの黒髪短髪に真紅の瞳。儚げで幸薄そうな美形。
 吸血鬼の中で特に力を持っていた一族の直系だが、無益な争いを起こさないようにと今は城にこもっている。
 優しげな好青年に見えて、実は優柔不断で臆病で面倒くさい性質。正真正銘のへたれ。

アケヒ《緋氷》
 身長185cm。朱金(輝くような赤)の髪に水色の瞳。夏生まれで外見年齢二十代前半。野性味のあるイケメン。
 見た目と口調から荒っぽく見えるが、意外と面倒見がよく、おせっかい焼き。
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